2012年9月17日月曜日

米国からの圧力から見た戦後史




孫崎享著「戦後史の正体」創元社1500円。を読み、驚きました。「米国からの圧力とそれへの対抗を軸に歴史をみる切り口もあるのか」と、かなりお勧めしたい本です。噂で聞いていたことや部分的に、雑誌から読んだりしたことも出てきて、妙に納得してしまいました。

外交や国政に携わろうとする者は「歴史を学ぶ必要がある」と、私は考えています。現在、国政に身を置いている方、これから挑戦しようとしている方のどれだけの方が、危機感を持って歴史を学び、これからの日本の外交と国益を守っていこうとしているのか、それを有権者は問うていく必要があるのではないでしょうか。

歴史も著書によって取り出され、利用される文脈が意図される場合があるので、様々な方面から情報を得る必要があろうかと思います。一つの切り口として、「アメリカからの圧力」という視点で歴史をみると、現在進行形であり、将来も続いていくことなので怖くなります。国のかじ取りは大変厳しいと感じざるを得ません。これが、著者の「思いすごし」なら、読者として気が休まるのですが。。

終戦後の占領政策から現在まで、アメリカの関わり方を資料をもとに書いてあります。
ポイントは3つ。
①米国の対日政策はあくまでも米国の利益のためにある。
②対日政策は米国の環境の変化によって大きく変わる(例:占領時代は懲罰的な政策、冷戦時は共産主義への防波堤として優遇、1990年代からは最大の脅威であり、アメリカの軍事戦略に取り込み資金を提供させる)
③米国は自分の利益に基づいて日本に様々な要求をする。

例として、いくつかの出来事を圧力と利益の点から指摘してありました。
=プラザ合意(円高になり空洞化が始まる)、BIS規制(世界トップにいた日本の金融機関が凋落する)、湾岸戦争(積算根拠もないまま130億ドルの資金協力)、日米構造協議、日米包括協議、2005年の日米同盟未来のための変革と再編(軍事協力の対象が極東から世界へ拡大)、郵政民営化(郵貯資金が米国債を買う危険),米政府系住宅金融機関2社の社債数兆円を日本政府に購入要請など、TPP(日本社会をアメリカ流にする危険)
=現状を変えようとした政治家たち(ほとんど短期退陣)と追従派政治家
=報道と検察
=日本が貧しいころの外交官と今の外交官

先日、竹中平蔵氏は著書や勉強会では、郵政民営化やTPPの必要性、米国型システムの導入のメリットを語ってくれました。三橋貴明氏などはTPPについては反対。このように、専門家がそれぞれの異なる見解を示される。。。。。。出来るだけ良質の情報ツールと、情報源を他方面から得なければ、判断しずらいですけれど。

国会議員には、常に、「外交」・「防衛」・「教育」・「長期的な国内の経済政策(社会保障、税含む)」について、語って欲しいですね。

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